Aug 29, 2009

『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』

選挙前ということで、今巷で噂の(多分?)「35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座シリーズ」(と言っても2冊?)を読みました。
筆者は森川友義氏(早稲田大学国際教養学部教授、政治学博士)です。
もう一冊の『どうする!依存大国ニッポン』がつっこみどころ満載なのに対し、こちらはまともな感じがしました。「へえ、そうなんや。知らんかった」というようなことが結構あります。
僕もまだまだ政治についてはわからないことだらけですが、少しずつ勉強しないといけませんね。

この本の内容を簡単にまとめますと、

政治は有権者、政治家(国会議員)、特別利益団体、官僚組織の4つのグループからなっている。
「有権者の投票によって選ばれた国会議員が国のための政策を実行する」というのが本来あるべき姿であるが、現状は全くそうなっていない。
政治家、特別利益団体、官僚組織が相互に協力しながら、それぞれの利権を守る形で法律が決められ、政策が実行されている。
有権者に対しては、投票率の低い人々(若者)のことを考えても票にはつながらない(政治家の利益にはならない)ので無視し、投票率の高い高齢者を優遇している(票につながり、政治家の利益になる)。
これを是正するには有権者、特に若者が進んで投票することが重要である。とにかく若者の投票率を高め、政治家に注目を促すことが重要である。
その1票が日本を変える1票になる。

という感じでしょうか。まあ、ありふれた感じではあります。
しかし、確かにそうなのです。
僕も「どの政党に入れてもたいして変わらんやん。それやったら1票入れてもしょうがないわ。政権とれない政党に投票してもしょうがないし」と思っていたのですが、それはどうやら間違っていたようです。
確かに、僕の1票が与党政党決定に大きな役割を果たすとは思えません。そして、仮にその役割を果たしたとして、政権を変えられたとして、日本が大きく変わるかといえば?です。
しかし、僕の1票で若い世代の投票率が少しでも上がれば、政治家が僕等の世代に少しは注目するようになるかもしれません。みんながそんな意識を持つことが大切なのです。

どの世代が最悪なのかというと、1975年生まれから1985年生まれまでの人たち。あくせく働くけど、税金でたくさんのお金をもっていかれ、そのあげく自分たちは政治・政策からは利益をあまり享受できない、そんな人生が見えてきます。  
現在70歳代の人たちが、生涯において差し引き1500万円くらい得をしている一方で、1980年前後に生まれた人たちは差し引き2500万円くらい損をする。その差、4000万円!現在のお年寄りを優遇し、みなさんのような若者に冷たい政策になっているということです。
なぜこんなことが起こるのでしょうか?理由は至って単純。若い人は選挙に行かないから、政治に声が反映されないのです。

僕は1979年生まれなので、まさにど真ん中です。まいったね。
勉強になりました。
明日は投票したいと思います。

選挙時に誰を選ぶかは二の次、政治の知識を持っていようといまいと関係なし。とにかく投票所に行く


さて、ここからはおまけです。
いろいろと知らなかった話、データが載ってましたので、少しご紹介します。

国会議員につく公設秘書は3人です。たった3人。国会議員の本当の役割は、立法府で法律を立案するために働くことです。でも、秘書がたった3人しかいなのに、法律を立案できると思いますか?  その秘書3人には、事務所の収支とかスケジュールの切り盛りをする人も含まれます。政策秘書は1人しかあてがわれないわけですから、実質、国会議員1人と政策秘書1人の2人で、法律の立案をしなければならないということです。  
米国では上院で40人、下院でも16人ほどの秘書がいます。そのくらいになってはじめて政策や法律の立案ができるというものです。
で、結局官僚が官僚や特別利益団体のための法律を作るわけですね。国会議員もそれが自分の利益につながると思えば通してしまう。
ふぅ……ですね。

1970年から約40年間に21人の総理大臣が誕生しました。2年間にひとりの割合で総理大臣が替わっているわけです。  
その間に米国の大統領は8人しか替わっていません。5年にひとりの割合ですね。
最近のサミットは毎回違う総理大臣です。こんなの海外から相手にされませんよ。しかも、総理大臣がコロコロ変わるということは国務大臣がコロコロ変わるということ(しかも派閥関係での持ち回り要素が強い)。省庁の統括なんかできるわけないです。結局官僚が操るという構造が変わらず続くのですね。

日本の政治に多少なりとも影響力のある特別利益団体の数は10万程度と考えておけばいいでしょう。そのうち、自民党に政治献金をしている団体の数は66000あまり。そのうちのいくつかは、同時に民主党にも政治献金をしているようです。
そんなに……。

日本には何人くらい公務員がいるか、ご存知ですか? いいえ、知りません。
答えは2008年時点で、約360万人です。公務員とは国や地方の公共団体に属している人々を言いますが、地方公務員が295万人、国家公務員66万人。地方公務員には、都道府県の学校の先生(115万人)や警察・消防職員(43万人)、地方の役所職員(64万人)などがいます。  国家公務員は、特別職(国務大臣、大使、裁判官、自衛官などの30万人)と一般職(36万人)に分かれます。一般職36万人のうち、国有林野を守っている林野関係の職員(5000人)等がいますが、もっとも人数が多いのはなんといっても30万人いる「非現業国家公務員」です。これがいわゆる「国家官僚」
そんなに……。


それなりに面白い本でした。

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