Aug 13, 2009

「大人の投資入門」

2008年1月に出版された本です。
年金投資についての本です。
久しぶりに読みましたが、やっぱりこの本はいいです。ためになります。

リーマンショックなどが起こる前のデータがベースなので、細かいデータ数値などは調べ直す必要がありますが、そんなこと問題じゃありません。
考え方が重要です。条件つきですが、納得です。考えたこともありませんでしたが、言われてみれば確かにそうだな、と思いました。

その内容を簡単にまとめると、以下の通りです。
  1. 日本の年金制度は、”国民年金(基礎年金)+厚生年金or共済年金(2階部分)”だが、50歳前後および、それより若い世代にとっては、この公的年金だけでは、2000万~3000万にも上る大きな不足が生じ、それを「自助努力」だけでどうにかする必要が出てくる。(注:額に関しては、個人差があります。ここでは参考程度でいいでしょう)
  2. 年金保険料は「年金積立金管理運用独立法人」によって運用されている。運用規模は2007年3月末現在で114兆5278億円で、世界最大の年金基金である。そのポートフォリオ(資産配分)の中身や運用方針は保守的であり(国内債券偏重)、その”超・安全運転”が、老後の生活の必要資金と実際の給付額との差を生んでいる。
  3. "『公的年金』+『私的年金』=私たちの年金"と考え、『私的年金』の運用を行う必要がある。年金性資金のような(超)長期投資においては、アセット・アロケーション(資産配分)が最も重要であり、理想の資産配分からこの『公的年金』の資産配分を引いたものを、『私的年金』として自ら運用すれば良い。具体的には、『公的年金』が国内債券偏重(約67%)なので、『私的年金』に国内債券を取り入れる必要はなく、国内・海外株式のみでも良い。(これは年齢によります。詳しくは読んでみてください)
  4. 実際の運用の仕方の例

最初に日本の年金の現況と見通しが書いてあるため、今まで知らなかった(あまり考えたことがなかった)
年金について簡単に知ることができますし、最後に実際の運用の仕方の例を、具体的な投信名を挙げながら紹介しています。
すごくわかりやすい本です。

さらに、この本の主張の特徴は上記まとめの3.です。このような考えかたの本は今まで読んだことがありませんでした。
だいたい『私的年金』の部分だけで理想の資産配分を考えようとしているものが多いです。「国内株式」「国内債券」「海外株式」「海外債権」を4等分で買いなさい、などはこの類ですね。
しかし、実際には国内債券については『公的年金』において大量に買っていることになっているため、個人では買う必要がないのです。『私的年金』において理想の資産配分を達成しようとすると、『公的年金』を合わせたトータルで考えると、理想から外れ、債権のやたら多いポートフォリオになってしまうでしょう。

もちろん、どう考えるかは人によって違うでしょう。
しかし、ポートフォリオ理論は確立された理論であり、互いに相関の少ない資産を組み合わせることでローリスク・ハイリターンの投資が可能になることは事実なのです。
ただ、どんなポートフォリオが最適化は個人のリスク性向によるため一概には言えません。
世界全体の資産総額の比率に合わせてポートフォリオを組むのが最適という理論もありますが、これは現実的には不可能です。
(などなど言い切っていますが、100%ということはありません)


どう動くかは個人次第。
でも、こんな考え方もあるんだ、ということは知っておいて損はありません。
実際、僕はこの考え方に納得しています。投信は国内株、海外株しか買ってません。
今後はコモディティや不動産(REIT)もおいおい考えていきたいと思っています。
でも、この本、海外債権が抜けてる気がするなあ。

この本と、同じ著者(北村慶)が2008年9月出した、「ほぼ確実に世界の経済精緒があなたの財産に変わる最も賢いETF海外投資」を合わせて読むと、実際の運用まで具体的にイメージできるようになると思います。この本も興味深いのでおススメします。


No comments: