Aug 24, 2011

NTTドコモが自動車「シェア」らしいけど、どうなるかな?

新聞の切り抜きをしているとたまに困ることがあります。
それは、両面に面白い記事がある場合。どっちを生かそうか迷ってしまうこと。
今日の日経の記事もそんな感じでした。
悩んだ末に残したのはこっち(逆面はLCCの記事でした)。


NTTドコモがスマホのGPS機能を利用して自動車共同利用システムを開発したという記事です。
駐輪場に設置した「サイクルポート」にスマホをかざして会員認証し、自転車を使用することができるというシステムらしいです。このポートを複数個 設置することで、利用者は好きな場所で借り、好きな場所へ返すことができるとか。
専用アプリにはポートの位置や利用できる自転車の数も確認できるとかで面白いかなと思います。
2011年度中に約5自治体への納入を計画しているとかで、まだまだ試験の要素が強い段階でしょうけど。


面白いと思う反面、問題点もけっこうありそうです。


1. 利用者をスマホユーザーに限定してしまっている
これはサービスの前提の部分なので問題と言ってしまうのはどうかとも思いますが。
MM総研のリリースのよると、2011年3月末のスマホ契約数は955万件
ターゲットの設定次第なのかも知れませんが、どのくらいの利用者を見込んでいるのか。はたまた、どれくらいの規模で成長すると想定しているのか。
少なくとも多くの高齢者には利用できないサービスになりそう。


2. 課金を「おサイフケータイ」機能を使って行うという点
おサイフケータイがないスマホは使用できないの?そこんとこがよくわかりません。
現時点では「おサイフケータイ」機能がついていないスマホの方が多いのでは?そういう人は使用できない?ということは、現時点でどれくらいの人が利用するのかちょっと疑問です。
iPhoneユーザーはダメってことでしょうかね。ドコモだけにやっぱり。
まあ、これはいずれ解決されていくことなのかも知れませんが、今のところはよくわからんです。
少なくとも僕は使えなさそうです。


3. ポート間の自転車数のバラつきをどうするのか
これは誰かが常に調節しなければならない問題でしょう。
担当者がポートごとの自転車数がバラつかないように、あるいは決められた台数になるようにトラックに乗せて運ぶ必要が出てくると思います。
実際に欧州におけるコミュニティ・サイクル発祥の地であるウィーンでも、2007年からコミュニティ・サイクル・システム「ヴェリブ(velib)」を運営している パリでも、専用トラックに自転車を載せて、ステーションごとの自転車の台数バラつきを調整しています。
この部分を民間に委託するにせよ、自治体が行うにせよ、費用が掛かってきます。
この費用が利用から上がる収入に見合うものなのか、しっかりと考える必要があるでしょうね。
これはパリのシステムでも大きな問題になってるようですからね。
まあ、フランスには「公共交通の黒字こそ悪」というよくわからない考えがあるようなので、一概には言えないのかも知れませんが。


4. 盗難・故障などへの対応はどうするのか
これもコミュニティ・サイクルにつきまとう問題でしょうか。
利用者がポートの使い方になれていない場合とか、ちゃんとロックできない可能性もあります。
ちょっと利用の盗難とか普通にありそうです。ただでさえ、駅前のチャリが盗まれるとかしょっちゅうありますからね。自転車にGPS機能付けますか?それやったら別にスマホいらん気もしますよね。
また、パンクとかいろんな故障はけっこうありそうです。
パリでは、故障により修理が必要な自転車は1日1500台にもなるそうで、修理班が3交代制の24時間体制で市内を巡回しているとか。ホンマかいな。。。
パンクなどその場で対処し、大きな故障は、セーヌ川に浮かべた修理船に運ぶんだとか。ちょっと笑ってしまいますが。すごいなあ。
まあ、ここまでせんでもいいとは思うけどね。ってか無理やろ。


5. 海外からきた観光客は使えないのか
まあ、別に問題でもないですけど、ちょっと残念かな。




まあ、このくらいいろんな事例を参考にしていろいろ考えてはいるんだろうけど。
それでもなかなかうまくいかないのが現実なんじゃないかなあ。
さてさてペイするのかな。
広告媒体として利用することも可能かとは思うけど、どれくらい収入入るかな?
興味はすごくあるんですけどね。
コミュニティ・サイクルってやりかたによってはすごい面白そうやもんなあ。


ちなみに欧州の例はこの本に出てます。
片野優著「ここが違う、ヨーロッパの交通政策」
都市政策にはちょっと興味あります。

Aug 19, 2011

加速する(?)ビール会社の海外展開

前回に引き続きビールの話です。
8月はビール関係のニュースがけっこう多かったですね。


まずは国内ビール大手4社の上期決算。
売上高は
キリンHD 1兆141億円
サントリーHD 8,331億円
アサヒ 6,516億円
サッポロHD 1,944億円


こうしてみると、4大というか3大ですね。
しかも、日経の記事によるとサッポロは3月に買収したポッカの寄与が大きかったとか。
エビスという優良ブランドを持っているためがんばれてはいますが、今後の展望が重要かと思います。言ってしまえば国内外の他企業から見れば狙い目だったりして。
さすがにそれはない?




海外買収の話題もありました。
キリンがブラジルのスキンカリオール・グループを約2000億円で買収。ブラジルのシェア2位の企業らしいですね。2010年12月期の連結売上高は約2852億円とか。
でかい動きしましたね。いい買い物だったのではないでしょうか。
この買収のせいで、格下げされましたが、まあ問題ないでしょう。
危機感を持って海外展開を進めているキリンのこの動きは好感がもてます。




一方でアサヒはニュージーランドのインディペンデント・リカーを約1000億円で買収するとか。
2010年度の売上高は300億円弱らしいです。ニュージーランドでシェア1位とのことですが、ニュージーランドでの売上なんて大きなものじゃないですよね。
オーストラリアでのシェアは3位とのことなので、ここでの成長がねらいなんでしょうか?
アサヒは2010年に約7%だった海外売上高比率を15年までに20%以上に高める計画らしいのですが、ここまでの買収はキリンと比べるとなんか小粒。
世界のビール企業が収斂している現在、待ったなしの状況のはずです。
これからのより積極的な動きに期待でしょうか。




ちなみに、世界最大のビール企業アンハイザー・ブッシュ・インベブのIR資料を見ると、上期の売上高は18,955百万ドル。1ドル80円で計算すると約1兆5000億円。
まあ、今は円高ですからね。それでもキリンの1.5倍あります。というか1.5倍しかないというべきか。
ただ、経常利益額の違いに驚きます。上期の経常利益
キリンは725億円、一方のアンハイザー・ブッシュ・インベブは4,640億円(1ドル80円)。これが世界の優良ブランドを抱える企業の力なんでしょうか。


まちがいなく、これからも企業の統合は進むでしょう。
その流れに乗れない企業は買収の対象になっていくと思います。まあ、それはそれでいいと思いますが。
日本人は日本企業が海外企業を買収することには賛成しますが、逆に海外企業が日本企業を買収しようとすることに強い拒否反応を示しがちです。
そんなこと言ってる場合じゃなくなってるし、国なんて関係ない時代になるかもしれません。


さてさてどうなっていくんでしょうか。

Aug 17, 2011

輸入ビール

コンビニでカールスバーグが売ってたので買ってみました。
ちょっとラベルを見ると、 輸入元はサントリー酒類(株)とのこと。へえー。
日本でも海外のビールって結構売ってるけど、どこが 輸入してるんやろう?ちょっと気になったので、まとめてみます。


バドワイザー
アンハイザー・ブッシュ 社(米)の製品。
キリンがライセンスを取得し、日本で生産しています。なんと国産なんですね。
バドワイザーはこの方法をカナダでもとっています。ラバット社がライセンスを取得し、カナダ国内で生産、販売をしています。


ハイネケン
ハイネケングループ(オランダ)の製品。
キリンとの合弁会社、ハイネケン・キリン株式会社を通じての販売されているとのこと。全種類ではなさそうですが、キリンが国内でライセンス生産を行っているようです。
これも国産やなあ。


カールスバーグ
カールスバーグ(デンマーク)の製品。
コンビニで買った缶を見ると、原産国はデンマークだそうです。日本では生産してないんでしょうかね。
輸入元はさっきも書いたとおり、サントリー酒類


ギネス
ギネス社とグランドメトロポリタン社の合併で誕生したディアジオ(英)の製品。
もちろん誕生はアイルランドです。
日本でのマーケティング戦略にディアジオジャパン株式会社を設立。ギネスの販売元はキリンです。日本での生産はしていないのかな?


コロナ
モデロ社(メキシコ)の製品。
原産国はもちろんメキシコで、輸入元はモルソン・クアーズ・ジャパン株式会社。
カナダのモルソンと、アメリカのクアーズの合弁会社の日本法人。モルソン、懐かしい。
クアーズもこの会社が輸入してますね。


他にも
ステラ(ベルギー)、レーベンブロイ(ドイツ)、ヒューガルテン(ベルギー)がアサヒから販売されてます。




こうしてみると、いろんな国のビールが日本でも飲めます。
そして、その販売にはサッポロをのぞく4大ビール会社が絡んでます。
こうしたライセンス生産や販売権を獲得できるというのは、その企業の力をあわらしていると言えなくもありません。
国内はもちろん、最重要地域になっていくであろうアジアにおける販売網などの力。


これらのライセンスは数年契約でしょう。ということは、両者が満足できなければ輸入元は変わるということ。
げんに、かつてはギネスをサッポロが、バドワイザーはサントリーがおさえていたようですから。それが現在はともにキリンに移っています。


さらにもう一つの懸念は、いつまでライセンス販売が可能かということでしょうか。
世界中でビール企業の買収・合併が進みました。
日本の4社はその中にはまだ取り込まれてはいませんが、今後はどうなるかわかりません。
もっともそれがいいのか、悪いのかは現時点ではよくわからないのですが。
仮にサッポロかどこかが買収された場合、日本での各ブランドの販売権がどう動くかはよくわからないですね。


まあ、そうは言っても、海外ブランドのビールが日本でどこまで売れているかといえば、
きっと各社の銘柄の販売額に比べれば微々たるものなんでしょうけどね。


なにはともあれ、ビール業界ってけっこうおもしろそうです。

Aug 15, 2011

待ちに待った「楊令伝」の文庫化

久々に本の話です。
北方謙三の楊令伝がようやくの文庫化。全15巻で、2012年8月まで毎月1巻ずつ出る予定です。


楊令伝は水滸伝の続編。
頭領の宋江をはじめ、多くの将校が死に、梁山泊がおとされた宋軍との戦いから3年。
生き残った者たちが再び結集の動きをみせはじめます。
宋江に請われて止めをさし、北に逃げた少年楊令。
その楊令を新たな頭領として仰ぎ、梁山泊軍が再びなる、、、はず。


はず、というのは、現在発行されている2巻までではまだ楊令は梁山泊にはっきりとは加わっていないから。
金軍の客将のような位置にあって、宋にすらいない状態です。
これからの展開がとても楽しみです。


一応断っておくと、楊令伝はすでに完結済みです。昨年の10月で完結しています。
単行本では全部読めます。
でも、僕は文庫で月に1冊楽しみに読んでいくことにしています。
単行本は高いもんね。




多分、水滸伝を知らない人も何人かは、というか結構いるんやろうなあ。
水滸伝の舞台は中国・宋の時代。
梁山泊を根城とする賊徒が結集。宋を相手に反乱を起こします。
梁山泊には多くの好漢達が全国各地から集まり、さらに彼らを慕って、また腐敗した政治・統治に反発して、そして梁山泊の掲げる思想に惹かれて多くの兵も集まってきます。
宋を相手に幾度も戦いを繰り広げる間も新たな好漢達が梁山泊に集まり、最終的にその数は108人にも達します。


彼らの経歴はさまざま。
頭領の宋江はもともと地方の役人だし、呼延灼や関勝、秦明などは宋軍の元将軍。他にも役人や宋軍を抜けてきた者は多くいます。
他には、山賊やチンピラなどなど。
全員があだ名を持っており、とても個性豊か。
水滸伝は昔から僕が一番好きな中国の話ですが、その理由のひとつがこれ。一人ひとりがとても面白いんよね。
一人ひとりにきちんとエピソードが設けられていて、梁山泊に向かう理由も過程もみな違う。
ちなみに、108人という数は星の数をあらわしています。108人が揃った段階で、彼らが108の星の生まれ変わりであり、梁山泊に集結したのは運命であったということが明らかになるんですが、これは蛇足ですね。


水滸伝は小説ですが、宋の時代に実際に宋江を中心とする賊徒が梁山泊を拠点に暴れたという史実はあるようです。




北方謙三はこの水滸伝をばらっばらにして物語を再構築してしまいました。
そしてもともと面白かった水滸伝を数倍も面白くしてしまった。
108人が揃うまで誰も死なないはずなのに、北方版「水滸伝」ではがんがん死んでいきます。
そしてその死に方がみなカッコ良すぎる。
その中でも目立つのが楊志。ありえないことに(!)、けっこうはやいうちに死ぬんですが、その息子が楊令。楊令伝の主人公です。


北方謙三はすごいですね。三国志もつくり直してしまったし。
読む小説、読む小説、面白い。
楊令伝を書き終えて、今は史記に取り組んでいるようです。
これも楽しみやし、その後は岳飛伝も書くとのこと。
中国では関羽に並んで人気があるという岳飛。楽しみです。
ちなみに岳飛は宋の将軍であり、楊令伝にも登場します。




水滸伝を読んでいない人は、まず読むことを強くおすすめします。
そして楊令伝。まずは来年の夏までたのしみますよ。
その後は三国志、水滸伝といっしょに一生読みつづけるんやろうなあ。