Nov 17, 2010

伝統工芸品について その3 業種は?

前回までに引き続き、伝統工芸のお話。
今回はどんなものが伝統工芸品に選ばれているのか、ということについてまとめてみました。


そもそもこの伝統工芸品という制度、始まったのは結構最近のことのようです。
「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」が公布されたのが昭和49年5月25日
そして、最初の伝統工芸品が経済産業大臣によって指定されたのが昭和50年2月17日ということですから、つい35年ほど前ですね。
この時には11品が指定されています。南部鉄器、木曽漆器、宮古上布などが指定されています。
なんというか、けっこう地味です。陶磁器が一個も入ってないし、メジャーどころは南部鉄器くらいじゃないかな。地域にもかたよりがあるしね。


その後、昭和50年5月10日に2回目(加賀友禅、九谷焼、輪島塗、越前漆器など北陸が多いなあ)、同じく昭和50年9月4日に3回目の指定が行われました。
どうも最初の方は漆器の指定が多いですね。それと、東北から北陸にかけての指定が多いかなあと思います。
そして、平成21年4月28日の越後三条打刃物まで、計46回の指定が行われています。


平成に入ってからは、指定される品数が非常に少なくなってきているようです。
おそらく、この制度は今後も継続されるとは思いますが、品数が大きく増加することはなさそうですね。
一つ疑問なんですが、制度が始まって約35年、この間に廃れてしまって、一度伝統工芸品に指定されてものの、その後要項を満たせなくなり、指定が取り消されたものってないのかな?
状況的にはありそうやけどなあ。




さて、じゃあ、いったいどんな業種が選ばれているのか?
ざっくり見てみましょう。
まず、業種数ですが、織物、木工品などの15業種です。
じゃあ、いったいそれぞれどれくらいの品数があるのでしょうか?

  1. 織物 33品
  2. 染色品 11品
  3. その他繊維製品 4品
  4. 陶磁器 31品
  5. 漆器 23品
  6. 木工品 21品
  7. 竹工品 7品
  8. 金工品 14品
  9. 仏壇・仏具 16品
  10. 和紙 9品
  11. 文具 9品
  12. 石工品・貴石細工 6品
  13. 人形 8品
  14. その他工芸品 16品
  15. 工芸用具・材料 3品
陶磁器の品数が1番じゃないのが、ちょっと意外です。個人的には。
織物多いなあ、と思ったら10品が沖縄県なんですね。そんで6品が新潟県。2県で半分です。。。
それと漆器、多いですねえ。こんなにあるんやね。英語で陶磁器は"China"、漆器は"Japan"と呼ばれますが、なるほどですね。海外にはあまりないんでしょうね。
津軽漆器、会津塗、木曽漆器、飛騨春慶、輪島塗、山中漆器、若狭塗くらいは知ってましたが、もっともっとありました。

金工品は鋳物系と刃物系にわけれそうです。打刃物ってけっこう多いですね。
鉄を赤く熱し、「鋳造」によって鍛え、「焼入れ」で鋼を硬くし「研磨」によって刃をつけるんだそうです。テレビとかで見たことありますね。
意外だったのが仏壇・仏具でしょうか。これ、今後もずっと続けていけるんでしょうか?需要的に。。。




どうでしょうか、伝統工芸品について詳しくなったでしょうか?
けっこう面白かったですね。


まことに勝手な意見ながら、これらの伝統工芸品は日本の文化です。できれば、残していきたいものです。
もちろん、実際に携わっている人達は、後継者不足、生活様式の変化、安価な代替品の普及など多くの困難に直面していると思います。
日本市場は縮んでいくばかり。また、日本文化に基づいた生活用品はある程度行き渡っている感もあるかと思います。
これらの産業が大きく伸びる余地はもう日本にはありません。
すでに海外に進出しているモノもあるとは思いますが、どんどん海外にアピールしていくことが必要です。生き残りたければね。そして生き残って欲しいですからね。まあ、全部が全部可能とは思わないけどもね。
海外に進出しようと思えば、マーケティングが非常に重要になってくるでしょう。生活様式の異なる海外に打って出るには、変わることが必要になってきます。芯となるものは保持しつつ、変わっていかなければなりません。
何を残し、どのように新しい環境に適応していくか、新しい条件に沿って行くか。
伝統を保持し、いわば変わらないことを評価されてきた伝統工芸品が、変わっていかなくてはなりません。


考えようによっては、面白いやん!! なあ。

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