Feb 5, 2010

高速道路無料化へ1626kmで社会実験を実施

平成22年2月2日(狙ったね)に国土交通省から出された資料を見てみました。
http://www.mlit.go.jp/common/000057575.pdf

平成23年度より段階的に高速道路の無料化を実施する前に、
「地域経済への効果、渋滞や環境への影響を把握することを目的として、平成22年度より高速道路無料化の社会実験を実施する。」そうです。
実験の対象となるのは合計1626km(高速道路の約18%)だそうです。
実験期間は平成23年3月末日までだそうです。
効果計測について、
・高速道路や一般道路の交通量、渋滞等の変化を計測するため、実験開始の前後で全国調査を実施。
・また、地域経済への効果、他の交通機関への影響等について、調査・分析を実施。
だそうです。

そして、下のほうに実験対象区間が掲載されています。ついでに、昨年4月~9月に実施された休日上限1000円による渋滞実績が参考として掲載されています。
ともに、地図上に示してあるので比較しやすいですね。


もちろん疑問点、つっこみどころが満載です。
なんでなんですかねえ。

実験によって把握したいこととして、地域経済への効果、渋滞への影響、環境への影響の3つを挙げていますが、効果計測の項目で具体的に触れているのは渋滞への影響についてのみ。環境については言及すらありません。
「地域経済への効果、他の交通機関への影響等について、調査・分析を実施」するそうですが、一体何をするのでしょうか?
そもそも、高速道路が無料になることによる、地域経済への効果ってどれくらいのスパンで顕在化するものなのでしょうか?
この高速無料化実験の期間は約1年間です。そしてその後すぐに無料化が段階的に実施されていくことになっています。 
つまり、この実験は、計測→結論までが1年間しかないということです。たった1年間で地域経済への効果が計測、把握できるものでしょうか?そして、もしも経済への悪影響が大きすぎるという結果になった場合は、中止の判断も必要になってくるのではないでしょうか?それを含めて、1年は短いと思います。

目的と実験区間がマッチしていない。
これはけっこう大きいですよ。
「三大都市圏及び札幌、仙台、広島、福岡の各都市圏内の路線及びこれを相互に連絡する路線、並びにこれと県庁所在地を結ぶ路線」でのみ実験を行うらしいのですよ。
しかも、数km~数十km程度ずつ全国の僻地(スイマセン)に実験実施路線は散らされています。
おいおい、一体なんのためにやるの?って感じですね。本気ですか?
だって、実験の大きな目的はしつこいようですが、地域経済への効果、渋滞への影響、環境への影響なんですよね?
資料の中にある、”実験路線図”と、”1000円による渋滞実績路線図”を見比べてみると、今回の実験路線はほそのほとんどが、1000円にしても渋滞が生じなかった路線です。
渋滞しそうにない路線しか選んでないやんけ!そんな路線で実験して渋滞への影響がわかるか!
しかも都市圏を避けて実験しても、地域経済への効果なんか測定できるか!それも細切れにした路線だけで何がわかるんじゃ!
そもそも環境への影響ってなんじゃ?よくわからんわ!
本気で社会実験としてやるのであれば、都市圏で実施しないと意味がないでしょうよ。
渋滞が悪化することは覚悟の上で。どれくらい悪化するのかが知りたいわけですから。
と言っても無駄なんでしょうね。


適当にやって、適当に結果を整えて、でも結局判断は政治家と官僚のさじ加減次第、ということになりそうですね。
やれと言われてやるだけの人たちなんでしょうから。
あほらしわ。

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