久々に本の話です。
北方謙三の楊令伝がようやくの文庫化。全15巻で、2012年8月まで毎月1巻ずつ出る予定です。
楊令伝は水滸伝の続編。
頭領の宋江をはじめ、多くの将校が死に、梁山泊がおとされた宋軍との戦いから3年。
生き残った者たちが再び結集の動きをみせはじめます。
宋江に請われて止めをさし、北に逃げた少年楊令。
その楊令を新たな頭領として仰ぎ、梁山泊軍が再びなる、、、はず。
はず、というのは、現在発行されている2巻までではまだ楊令は梁山泊にはっきりとは加わっていないから。
金軍の客将のような位置にあって、宋にすらいない状態です。
これからの展開がとても楽しみです。
一応断っておくと、楊令伝はすでに完結済みです。昨年の10月で完結しています。
単行本では全部読めます。
でも、僕は文庫で月に1冊楽しみに読んでいくことにしています。
単行本は高いもんね。
多分、水滸伝を知らない人も何人かは、というか結構いるんやろうなあ。
水滸伝の舞台は中国・宋の時代。
梁山泊を根城とする賊徒が結集。宋を相手に反乱を起こします。
梁山泊には多くの好漢達が全国各地から集まり、さらに彼らを慕って、また腐敗した政治・統治に反発して、そして梁山泊の掲げる思想に惹かれて多くの兵も集まってきます。
宋を相手に幾度も戦いを繰り広げる間も新たな好漢達が梁山泊に集まり、最終的にその数は108人にも達します。
彼らの経歴はさまざま。
頭領の宋江はもともと地方の役人だし、呼延灼や関勝、秦明などは宋軍の元将軍。他にも役人や宋軍を抜けてきた者は多くいます。
他には、山賊やチンピラなどなど。
全員があだ名を持っており、とても個性豊か。
水滸伝は昔から僕が一番好きな中国の話ですが、その理由のひとつがこれ。一人ひとりがとても面白いんよね。
一人ひとりにきちんとエピソードが設けられていて、梁山泊に向かう理由も過程もみな違う。
ちなみに、108人という数は星の数をあらわしています。108人が揃った段階で、彼らが108の星の生まれ変わりであり、梁山泊に集結したのは運命であったということが明らかになるんですが、これは蛇足ですね。
水滸伝は小説ですが、宋の時代に実際に宋江を中心とする賊徒が梁山泊を拠点に暴れたという史実はあるようです。
北方謙三はこの水滸伝をばらっばらにして物語を再構築してしまいました。
そしてもともと面白かった水滸伝を数倍も面白くしてしまった。
108人が揃うまで誰も死なないはずなのに、北方版「水滸伝」ではがんがん死んでいきます。
そしてその死に方がみなカッコ良すぎる。
その中でも目立つのが楊志。ありえないことに(!)、けっこうはやいうちに死ぬんですが、その息子が楊令。楊令伝の主人公です。
北方謙三はすごいですね。三国志もつくり直してしまったし。
読む小説、読む小説、面白い。
楊令伝を書き終えて、今は史記に取り組んでいるようです。
これも楽しみやし、その後は岳飛伝も書くとのこと。
中国では関羽に並んで人気があるという岳飛。楽しみです。
ちなみに岳飛は宋の将軍であり、楊令伝にも登場します。
水滸伝を読んでいない人は、まず読むことを強くおすすめします。
そして楊令伝。まずは来年の夏までたのしみますよ。
その後は三国志、水滸伝といっしょに一生読みつづけるんやろうなあ。
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