Jun 5, 2011

エジプト新政権が招く緊張

「アラブの春」が世界の注目を集める中東ですが、そんななかエジプトの新(暫定?)政権を巡る動きも軽視できません。


6/3(金)の日経新聞に興味深い記事がありました。「エジプトに多額の支援」という記事で、
サウジアラビアなどペルシャ湾岸産油国が、エジプトへの資金支援を相次ぎ打ち出している。・・・湾岸諸国は、エジプトがイランに対抗する外交政策を変更し、地域の勢力バランスが崩れることを懸念。原油高で蓄えた資金を元手に支援し、路線継続を促す姿勢を鮮明にしている。
とのこと。エジプトの今後の動きいかんによっては中東がますます不安定になるかも。


物事の発端はこれでしょうか。多分そうでしょう。
今年の2月、イランの軍艦が1979年のイラン革命以来初めてスエズ運河を通過、盟友国であるシリアに寄港しました。イランにとっては「アラブの春」の混乱に乗じた動きやったんかな。
その際、エジプトはイランのスエズ運河通過を許可しました。もちろん、自由な航行を禁止することができない、という言い分はわからんではないけどね。
しかし、これはやはり歴史的な出来事やったと思います。


これに対しては当然ながらイスラエルが反発します。イランとシリアはイスラエルにとって敵国ですから。イランとシリアはイスラエルに敵対するテロリスト集団(このあたりって、何がテロだかよくわからんところはありますが?)であるハマスを支援していると言われています。
そんなイランがスエズ運河を通過してシリアに達するということはイスラエルにとって大きな驚異なわけです。


これまでエジプトは反イラン、親イスラエルの外交政策をとってます。というかとってました。国民感情としてはイスラエルにいい感情はないかもしれませんが、それはともかくとして、少なくともムバラク政権の政策としてはイスラエルとの国交は大事にしてたみたい。だって、仲介国である米国とは仲良くしていたいもんね。
しかし、「アラブの春」によって生まれた新(暫定?)政権はこの外交政策を転換し、イランやシリアと関係修復を図ろうとしているようです。
イランもこれに応じて、約30年以上国交が途絶えていたエジプトに大使を駐在させるらしい。
地震の影響で中東のニュースはあまり注目されなくなってましたが(ってかはじめから日本人はあんまり注目してなかったかもね)、動きがすさまじい。


これがイスラエルにとってはもちろんですが、周辺諸国、さらには米欧にとっても大きな懸念点になっているわけです。
エジプト、イランともに大国ですから。しかもシリアはアラブではエジプトに次ぐ軍事国らしい。つまりはパワーバランスが変わってしまうわけです。


僕が生まれた1979年に起こったイラン革命とエジプト・イスラエル平和条約の2つの歴史的イベント。
それから32年たって、今度はイランとエジプトが接近。
いろいろとどうなっていくんでしょう?

1 comment:

いわしくん (yoshi) said...

米国が債務免除を日欧に要請。エジプトを引き留めておきたいのはアメリカも同じ。