Feb 13, 2012

バンクーバーの日本酒事情

バンクーバーには中国人をはじめ韓国人、日本人など多くのアジア人が生活しています。
ざっと住民の20~30%程度はこうしたアジア人でしょう(インド人もたくさんいます)。
そして当然ながら、それぞれの国の料理を食べることができ、日本の居酒屋もちょこちょこあります。

居酒屋につきものなのは・・・、日本酒です、よね?
というわけでバンクーバーでも日本酒を飲むことは当然ながらできるわけです。
値段はとってもお高いですが。。。

バンクーバーにいた2010年に、カナダや、バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア(BC)州の日本酒輸入状況について調査をしたことがありますので、その内容を少しだけ紹介してみます。


まず、そもそも日本酒はどの国、地域に輸出されているのか?そしてカナダは?
答えは、アジアや欧米が多いですが、南米、中東に輸出している酒蔵もあります。
下図は2009年の日本酒輸出先を輸出量を多い順に並べたものです。


実はカナダは世界で6番目に日本からの日本酒の輸入量が多い国なんですね。2009年には日本からカナダに467klの日本酒が輸出されています。
”日本からの”と書いたのは、実は日本酒は日本だけでなく、アジア、米国などでも製造されているからです。
カナダ以外では、やはりというかなんというか、米国が圧倒的に輸入が多いです。
韓国や台湾、香港も多いですね。人口を考えると、一人当たりの量では米国以上です。ちなみに韓国人の友人の話では、韓国では日本酒は温めて飲むものなんだそうです。僕なんかはそれを聞いて、もったいなあ、と思ったものですが。。。

カナダは467klを日本から輸入していると述べましたが、じゃあ、BCでは?
ちょっと資料が見当たらなかったのですが、州の人口規模や民族構成などからみて、おそらくこの20~30%程度かなあ、と勝手に思ってます。


では、次に、BCではどのようなアルコールが飲まれているかを見てみましょう?
やはりビールが一番飲まれてるんです。イメージ通りでしょうか?
じゃあ、日本酒は?というと、実は日本酒は独自のカテゴリーではなく、ワインとしてカテゴライズされているんです。そもそもはマーケットが非常に小さいからなんでしょうね。


日本酒のマーケットが非常に小さい、と言いましたが、じゃあどれくらい?
下に、BCのアルコール流通量と、日本酒の流通量を示します。
桁が全く違うことがわかります。
ワインの流通量がおよそ、8億ドルなのに対し、日本酒は500万ドル程度でしかなく、実はBCのアルコールマーケットのたった0.2%にしか過ぎません。。。
図を見ればわかるんですが、少しずつ伸びてはいるんですが、アルコールマーケット自体増加傾向なんですよね。




最後にBCで飲まれている日本酒についての上の図を見ると、米国産、日本産、BC産とあるのがわかります。BCで飲まれている日本酒はなんと米国産が60%以上!
実はこれ、月桂冠のBCにおけるシェアとほぼ一致します。BCでは月桂冠のシェアが62%らしいです。まあ、安いからですかね??確かに一番見かける日本酒です。

この月桂冠、カリフォルニアに米国月桂冠株式会社 Gekkeikan Sake (USA), Inc.tという現地支社を持っており、ここで生産されたものがBCに輸入されています。同じ西海岸だし、同じNAFTA(北米自由貿易協定)加盟国のため、関税がかからず、安く販売することができるというわけです。
詳しくは書きませんが、カナダの輸入酒にかかる税金はむちゃくちゃ高いのです。それがいやでカナダには輸出したくないという蔵元もいるくらい。

ちなみにBCでも日本酒を作っているところがあります。
バンクーバーのグランビルアイランドという島で、2007年にカナダで最初の日本酒醸造所がオープン。試飲もできます。日本人がやってます。ワインボトルにいれて売ってます。味はノーコメントです。
現在では他にも日本人がつくっている日本酒醸造所があり、BCで消費される日本酒の4%がこうしたローカル産となっているようです。


まあ、個人的には、日本産の日本酒がいいですね。
研究のために居酒屋で一回、高いのを我慢して飲んだことがあります。
高いので、こんなちっちゃいのを3人で。。。
これね、46ドルもしたんですよ。それにいわゆる消費税が12%だから、、、
ちなみにそれにプラスしてチップがいるので、まあ2割増の値段と思ってください(・・;
ちなみに、日本酒の値段表です。なんとなく、値段感がわかるでしょう。
横になってますががまんしてね。


日本酒が海外に入り込んでいく余地はまだまだあると僕は思っています。
というか、入り込んでいかなければならなくなるでしょう。
日本における日本酒の消費量は減少しており、消えていく蔵元も多い。
実際にカナダから400以上の日本酒蔵元に対してメールでアンケートを取ったことがありますが(57もの蔵元が回答してくれました。もちろんどこかは言えませんが)、93%が日本におけるマーケットの現状に満足できていない、あるいは現状は満足だが将来に対して不安を感じていると回答しました。

そして、危機感を持っている蔵元は動き出しています。
上記アンケートでは80%以上が(まあ、そういうところしか返信してくれなかったとも言えますが)、すでに輸出を開始していると回答しました。
また、この中には子供を米国(大学など)に送り出し、海外でのマーケティングについて勉強させるなどしている蔵元もそれなりにいるようです。

心配もしながら、今後に期待したいと思います

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